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2013年9月24日火曜日

英文会計士とコミュニケーション (3) - 残念なことを伝えるとき

悪い知らせを顧客に伝えるとき、受動態にすると角が立ちにくくなります。

例えば、「お客様がデータを提供してくれないせいで、監査をし直す必要があります」と書きたいとします。
We will have to repeat that portion of the audit because we did not get complete information.

と書くと、あたかも、こちらに落ち度があるようにも解釈できます。そこで、
That portion of the audit must be repeated because the information obtained was not complete.
と受動態にすれば、直接的に誰かを非難しないため、アタリが柔らかくなります。

一般に受動態を使うと、まどろっこしい弱い文章になるため、止めた方がよいのですが、このような裏ワザとしては便利ですね。

参考:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa

英文会計士とコミュニケーション (2) - 形式ばった言い回しは避ける

ひと昔前はお奨めだった英語の定型的な言い回しは、もう使われなくなってきました。
以下はいくつかの例です。


Pursuant to our conversation …

When we talked yesterday …
When we spoke yesterday …
When we spoke on the phone yesterday …


We are in receipt of  …

We have received …


Attached herewith …

We have attached …



Enclosed please find …

We have enclosed …


Per your request …

As you asked …
As you wanted …


Please be advised that …

   削除してしまう


Please rest assured …

       削除してしまう


If you should have any questions, please do not hesitate to contact me.

If you have questions, please call me at …

参考:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa

2013年9月20日金曜日

英文会計士とコミュニケーション (1) - 英語を簡潔に書く

英語を使う会計士が、かけだしの頃に陥る間違いは、顧客とコミュニケーションをするときに、難しい言葉を使ってしまうことらしいです。

そうなってしまうのは、学生の頃に読んだ教科書、専門誌、行政機関の発行物が、難しい言葉で書いてあるためです。

難しい言葉とは、抽象的で複雑でよそよそしい言い回しです。

ビジネスの世界では、読む人も書く人も忙しくて、やたら難しい文章を読むヒマはありません。

そこで以下のテクニックがお勧めです。

英語を簡潔明瞭に書くためのテクニック

複数の音の単位から構成される単語を避け、1つの音の単位からなる言葉を使う。


長ったらしい → 簡潔

2013年9月19日木曜日

会計士とコミュニケーション (5) 文章を見直す

文章の下書きが終わったら、次のステップは文章の見直しです。

見直しによって、文章が読み手にスッと伝わるようになります。

その反対に、伝わらない文章とは、以下のように書いた文章です。
  • 思いついた順に書く。
  • 単に時系列順に並べる。
  • 同じことをあちこちで別の言葉で言い表す。
そこで以下のテクニックがお勧めです。

1.    最初の段落で最重要ポイントを述べて、結局は読者に何をしてほしいかを伝える。

2.    各段落においても、最初の行で、その段落の重要ポイントをまず伝える。

3.    段落の中で、キーワードを繰り返す。

4.    考えを接続詞でつなげる。

     接続詞の例:
  • 説明:例えば
  • 確認:実際は
  • 否定:しかし
  • 追加:そのうえ
  • 譲歩:そうはいうものの
  • 結論:したがって

5.    段落を「くさび」でつなぐ。
「くさび」とは、段落の最後の行で述べた考えを、つぎの段落の最初の行で繰り返すテクニックです。

6.    最後に結論および読者にしてほしいことを伝える。
読者に「知ってもらいたい」のか「何らかの行動をとってほしい」のかを伝えます。

参考:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa

2013年9月18日水曜日

当期純利益の不思議

「当期純利益」は、その年度の純益のことであり、英語で net income が一般的です。

前の年度の純利益であっても「当期純利益」と言い、「前期純利益」のようにはならないのです。

例えば、
2010年度の当期純利益
2011年度の当期純利益

のような表現となります。

過去のことを「当期」と呼ぶことに違和感を覚えるますが、決まった用語なので仕方がありません。

2013年9月12日木曜日

会計士とコミュニケーション (4) 大事なことから伝える

ビジネス文書でいくつか書きたいことがある場合、どのように並べればいいのでしょうか?

「重要度」の順に並べれば、読みやすいという説があります。

例えば、以下のように並べます。

1.    出だし
  • 目的を述べる

2.    本文
段落1(最も重要な内容)
  •   ポイントを述べる。
  •  詳細に説明する。
段落2(次に重要な内容)
  •  ポイントを述べる。
  •  詳細に説明する。
段落3(次に重要な内容)
  •  ポイントを述べる。
  •  詳細に説明する。


3.    むすび
  •  読み手に何をしてほしいのか、まとめる。


出所:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa



2013年9月11日水曜日

会計士とコミュニケーション (3) 核心以外は捨てる

会計士が情報を伝えようとするとき、何に苦労するのでしょうか?
十分なデータが手元にないことでしょうか。
いえ、難しいのはむしろ、データの取捨選択だそうです。
山のようにあるデータの中から最も的を射た核心にふれた情報を提供しなくてはなりません。
情報の洪水を整理して説明することが会計士に求められているのです。

会計士は次のことを自問しなくてはなりません。
  • このデータは聞かれた質問に答えているのか?
  • このデータは重複してないか?
  • 情報の受け手は、これを理解できるか?
  • もっとうまく説明できるデータは他にないか?


出所:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa



2013年9月10日火曜日

会計士とコミュニケーション (2) 読み手に伝わるように書く方法

 

■ 読み手は誰か?


メールや報告書などを下書きするとき、主張したいことや、それを裏付ける事実やデータを考えている思います。

これに加えて、「読む人物を想像しながら書く」ことをお勧めします。
すなわち、
  • 知っている人のために書く場合:その人の姿を脳裏に浮かべて書く
  • 知らない人のために書く場合:誰かを想定して書く
  • あるグループのために書く場合:そのグループが他のグループとどう違うかを意識しながら書く


■ 専門知識をどう伝えるか?


専門用語を分かりやすく説明するために、以下のステップがお勧めです。
  1. その用語が属する一般的なグループを定義する
  2. その用語がグループ内の他の用語とどう違うのかを説明する。

例:
  • 用語:ビール
  • グループ:アルコール飲料
  • 特性:麦から醸造した


  • 用語:投資
  • グループ:資産を購入すること
  • 特性:購入した資産から収入を得ることを期待している


  • 用語:繰戻還付
  • グループ:税金の還付
  • 特性:今年度が赤字ならば過去に収めた税金が還付されること


参考:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa






2013年9月8日日曜日

会計士とコミュニケーション (1) 会計士として成功するために

翻訳は言葉の世界、会計は数字の世界だから、2つは全く別モノと思っていました。しかし「会計士のためのプロのコミュニケーションの手引き」ではこう言っていたのです。
  • 会計はビジネスの言葉であり、会計士のプロにとって最重要課題は、この言葉を他の人に翻訳することである。
(Accounting is the language of business, and one of the professional’s most important challenges is to interpret this language for others.)

驚きです。

会計士が成功するためにコミュニケーション能力が重要であることから、アメリカのCPA(公認会計士試験)の試験に文書作成能力の試験が追加されました。

以下の能力が問われることになります。

Abilities to:
  1. organize ideas  考えをまとめられる能力 
  2. express yourself concisely  簡潔に表現する能力
  3. choose words precisely  言葉を正確に選ぶ能力
  4. write clear sentences   明確に書く能力
  5. use correct grammar  正しい文法を使う能力
  6. use standard English  標準的な国語を使う能力
  7. write appropriately for intended readers  ターゲットの読み手に合わせた書き方をする能力

出所:”The Accountant’s Guide to Professional Communication” by Melanie McKay and Elizabeth Rosa


2013年9月5日木曜日

「立替金」は会社が立て替えてあげているのか、それとも会社が立て替えてもらっているのか?

主に会社が立て替えてあげる場合に「立替金」が計上され、資産勘定となります。
例:
  • 会社が従業員に給与の前貸しをする
  • 仕入れ業者が負担すべき送料を会社が一時的に支払う
英語の場合も同様で、
Advance: money given to an employee before it is earned (e.g., advance against salary).

出所:”Dictionary of Accounting Terms” Second Edition” by Joel G. Siegel and Jae K. Shim

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