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2026年6月26日金曜日

最近よく見かける業界用語 ― Platform

日本語で「プラットフォーム」と言えば、多くの人は次の3つの意味のいずれかを思い浮かべるでしょう。 
  • 駅のプラットフォーム 
  • 特定の目的のためのソフトウェア 
  • 売り手と買い手をつなぐ基盤(Google、Apple、Facebook、Amazonなどが代表例) 

しかし、オルタナティブ投資の世界では、英語の platform は上記の2の意味でも使われますが、それ以外にも実にさまざまな意味で「基盤」や「土台」を表すことがあります。 私がこれまでに目にした platform の例には、次のようなものがありました。 
  • 投資案件の発掘に役立つ、業界のプレーヤーとの間に築かれたネットワークや関係性 
  • 証券を発行するための基盤 
  • 社内で特定の役割を担うチーム 
  • バイアウト案件における中核的な投資先企業(後にアドオン投資するための土台になる) 

このような場合、単にカタカナで「プラットフォーム」と訳してしまうと、何を指しているのか分かりにくくなります。そのため、文脈に応じて「○○基盤」「部門」「投資先企業」などと訳し分けています。

単なるカタカナ化を避けることを、私はみなさまにもお勧めします。

2025年12月4日木曜日

翻訳者泣かせの「Public Airlines」と「Private Airlines」の定義✈️


「public and private airlines」という表現は、実は文脈によってまったく異なる2つの意味があります。和訳すると別物になるので注意が必要です。


1. 航空会社の所有者に注目する場合

  • public airline = 政府が所有する国営航空会社

  • private airline = 個人投資家や機関投資家が所有する民間航空会社

2. 航空会社の所有権がどのように取引されているかに注目する場合

  • public airline = 株式が証券取引所で売買されている上場航空会社

  • private airline = 非公開航空会社


ChatGPTによると、英語圏では 2. の意味で使われることが多い そうですが、1. の意味でも使われることがあります


さらにやっかいなことに、最近 「state-owned vs public airlines」という表現も見かけました。これは1. と2. が混在しているため、訳し分けが必要です。すなわち「国営航空会社 対 上場民間航空会社」となります。


こうした細かな違いが大きな意味の違いにつながるのが英語の難しさであり、翻訳者として特に注意を払う点です。✍️✨


2020年6月6日土曜日

「割引率」は、投資(M&A)と保険数理で定義が違う

保険数理において、割引率を(d)、年利を(i)とすると
d = i/(1+i)
で表されます。

その一方、M&A投資において将来のキャッシュフローを現在価値に変換するために用いる割引率は、(d)ではなくて(i)の方を指します。

これは英語でも同じで、「discount rate」と言っても保険と投資(M&A)で定義が上記のように異なるため、注意が必要です。

しかし、ありがたいことに、保険数理でもM&A投資でも「現価率(discount factor)」の定義は同一なので、悩む必要がありません。
現価率(ν) = 1/(1+i)

参考:
数理ファイナンス 

確定年金の計算


2019年8月30日金曜日

翻訳者が業界団体に顔を出すということ

ある翻訳者の集まり。楽しかったけれど…。
翻訳者の集まりに行くのは楽しいです。気が合うし、話が合うし、たまに仕事を紹介してもらうこともあります。しかし1つ問題が。。。紹介してもらう仕事が自分の専門と一致する可能性がゼロに近いことです。なぜなら、参加者は特許、医薬、法律、映画字幕、ゲーム、機械、日本文化などを専門としており、私が専門とする「オルタナティブ投資」の意味を知っている人など、まずいません。


そこで、オルタナティブ投資の業界の交流会に出向くことにしました。こちらの参加者は、金融業界でファンドを運用しているプロの方々です。

ものすごく緊張します。場ちがいではないかと気おくれするし、隣の人と何を話したらよいか分かりません。女性も少ないので、ますます居心地が悪いです。

この不快感を我慢し、セミナーや交流会に何度か出てみましたが、「なんでアナタがここにいるの?」みたいな意地悪なことを言ってくる人は一人もいませんでした。

それどころか私が翻訳をやっていると告げると、「通訳ってすごいといつも思います」と気を使ってほめてくれる女性のファンド運用者すらいました。(翻訳と通訳は全然違うのですが、まあそれはそれとして。)

金融業界にはバイリンガルに近い人が多くいるので、そもそも翻訳のニーズがないのではないかと不安でした。

しかし私は知ってしまったのです。金融関連の翻訳をいくつか目にしましたが、ことオルタナティブ投資がテーマになると、誤訳・珍訳のなんと多いことか。これにお金を払っている人がいるということは、私の出番があるはずなのです。

そこで業界の集まりに出て、自分の顔を覚えてもらうことが肝要かと思っています。隣の人と何かを話せばいいのか、いまだに分かりませんが、自分から何か話すと言うよりは、お酒をお食事を楽しみながら相手の話を聞くだけでもいいかと思ってます。

インターネットとスマホの時代でも「人と人が会う」ということは、すごいことだと思います。会ったからと言って即、お互いに気があったり信用しあえるとは限りませんが、フリーランスの翻訳者は極力お客さんのいそうな場所に足を運んで、お客さんの世界を少しでも知るべきだと考えています。

2019年7月28日日曜日

50代でもCAIAは受かる

私のような翻訳者がこの資格を取った理由は、オルタナティブ投資に関して翻訳する際、情報が少なくて困ったためです。市販の書籍を読んでも、インターネットで検索しても、分からないことだらけです。

CAIAの勉強によって、ばらばらの知識を体系化でき、翻訳上の疑問も解消するのではないかと思いました。

勉強の方法


試験は2段階あり、レベル1とレベル2の試験が半年ごとにあります。

CFAの保有者は、レベル1を受けなくてもレベル2に進めるという制度が始まりました。

またレベル2の職業倫理の部分はCFAと重複しているため、CFA保有者にとって有利です。

公式な教材として、CAIAの教科書(有料)と模擬試験(無料)があります。

これだけで受かるすごい人もいるようですが、多くの人は、UpperMark もしくは Schweserという受験教材会社のコースで勉強します。私も教材会社のお世話になりました。

UpperMark と Schweserでどちらにするか迷ったあげく、UpperMarkにしました。

受験生の交流サイトであるAnalystForumによれば、UpperMarkは実際の試験よりもやや難しく、Schweserは説明が読みやすいという評判でした。(実際の試験でも、UpperMarkをやったおかげで、問題がやさしく感じました。)

UpperMarkの教材には数式のリストがついていて、覚えるべき数式の範囲がわかるので便利でした。

数式のあまりの多さに頭がクラクラしますが、よく見ると似たような式も多く、お経のように繰り返すとなんとか頭に入るものです。

クイズ形式の模擬試験もあり、最初は悲惨な結果でも、徐々に8割程度は答えられるようになりました。

フラッシュ・カードも買いましたが、ほとんど使いませんでした。

法律や各投資対象の特性など、暗記すべき内容が多くありました。

ICレコーダーに自分の声でポイントを録音し、お皿を洗いながら、洗濯物を干しながら、道を歩きながら聞いて暗記しました。

50代で新しいことが覚えられるのか?


心が折れそうなときは「還暦三度目の京都大学合格記」を読むことをお勧めします。

一説によると、短期記憶は齢とともに衰えやすいものの、長期記憶はそれほどでもないそうです。

したがって繰り返し脳にインプットする長期記憶ならできるはずです。

今さら数学ができるのか?


私のような翻訳者は文字列ばかり見て仕事していますので、数学は過去数十年まったく触れていません。

九々ですら忘れていた状態でした。

しかしCAIAの数学は、数式の意味の理解と応用ができればよく、微積分の複雑な計算や証明を求められることはありません。

しかも点数の配分は全体の2~3割なので、文章問題で挽回することもできます。

日本人に英語のエッセイが書けるのか?


仕事がら、さすがに英語には日々触れていますが、それでもネイティブではなく、特に冠詞の判断は困難です。

しかしCAIAは英語の文法の間違いが採点の対象にならないので、大丈夫です。

キーワードを書ければ突破できると思います。

合格して分かったこと


結局、CAIAで勉強した内容は、翻訳に大いに役立っております。

さらに、CAIAの日本支部が最近立ち上がったため、オルタナティブ投資のプロの方々とお会いでき、中には翻訳を発注してくれる方もいて、私にとってこの資格は有益な時間とお金の投資となりました。



オルタナティブ投資という言葉を初めて聞く方へのざっくりしたイメージ

「投資」というと、何が思い浮かびますか?

ぶつうは株や債券を買って、そのまま持っていることですよね。


オルタナティブ投資というのは、ざっくり言って、そうでない全ての投資のことをいいます。

そもそも投資は、払ったよりも多くのお金が戻ってくれば、何でもよいのです。


金の卵を産む金のガチョウでもいいのです。



そしてオルタナティブ資産という金のガチョウには魅力があります。


まず、株や債券をふつうに持っているよりも儲かることがあります。


さらに、金のガチョウの相場は、株や債券と違った動きをしたりします。証券市場がどっと落ち込んだとき、逆に儲かったりすれば、うれしいですよね。


金のガチョウが欲しくなりませんか? でも、それはどこで買えるのでしょうか?ガチョウの世話はどうするのでしょうか?


このあたりが難しいので、オルタナティブ投資はシロウトには手が出せないのです。

また一度に投資する金額が大きいので、よほどの大金持ちか機関投資家でないとムリです。

手塩にかける



オルタナティブ投資と言えば、ベンチャー・キャピタルやバイアウトが代表的でしょう。


ベンチャー・キャピタルとは、例えて言えば、ガチョウのヒナを買って育て、卵を産めるようになったらガチョウを売って儲ける仕事です。


(みなさまご存知のアップル、フェースブック、グーグル、スターバックスは、ベンチャー・キャピタルのおかげで大きくなりました。)


バイアウトとは、弱ったガチョウを手当てしてあげて、卵をバンバン産めるようになったらガチョウを売って儲ける仕事です。


どちらも世話をしなければなりません。

面倒くさいですよね。


さらに金の卵を産むまでに、何年も何年も待たなければなりません。

不便ですよね。

普通の株と債券だったら、いつでも電話やネットで買ったり売ったりできるのに。


この面倒くささと不便さの見返りとして儲けが大きくなければ、悲しいですよね。


その点、年金、保険会社、大金持ちは、面倒を見てくれる人を雇う財力があり、すぐに儲けが出なくても困らないので、長く待ち続けることができます。


さて、他にも、いろいろなオルタナティブ投資があるので、びっくりします。


音楽や映画のロイヤルティー、薬の特許、保険、森林、農地、飛行機、港や空港や高速道路(要するにインフラ)、証券化した債権(学生ローン、カードローン、医療債権)などなど。


ヘッジ・ファンド、不動産、商品先物はすでにご存知ですよね。


投資する側とされる側のおもしろい関係


オルタナティブ投資の醍醐味は、それだけではありません。

投資家と運用会社の関係がおもしろいのです。

お金を出す方がエラい、というわけでもないのです。

人気のある運用会社は、投資家を選ぶことができます。


行列のできるラーメン屋というか、「一見さんお断り」の世界ですね。

投資家と運用会社の関係は何年も続くので、まるで結婚相手のようにお互いをしっかりチェックします。



そのマッチメーキングはあまり公表されません。


プレースメント・エージェントという、いわば仲人が良いお相手を探してくれたりします。

秘密めいていてワクワクしませんか?


オルタナティブの投資家は、一度に大金を投じるので、運用会社にモノを言いやすくなります。


「環境に優しく、女性を平等に扱い、裏で会計を不正操作しない企業にもっと投資しなさい」と言うことができます。


私は投資といえば金儲けに始まり、金儲けに終わるものかと思っていましたが、昨今は世の中を明るくする方向に進んでいるようです。


うれしくないですか?