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2026年6月27日土曜日

よく出てくる「Meaningful」の和訳は意外に難しい

 


金融翻訳でよく目にするのが、**「meaningful」や「meaningfully」**という表現です。

どういう状況で使われるかというと、AとBの数量の差が meaningful である場合です。

例えば、Aが meaningfully に増加してBになったとか、AとBとの間には meaningful な差がある、といった具合です。

つまり、書き手にとって、どうでもいい差ではなく、投資判断に影響するほどの実質的な差があるということなのです。


どの辞書を見ても、「meaningful」の訳語として、「有意義な」や「意味のある」くらいしか載っていないので、私はいつも困っていました。

「有意義な差」では、あたかも良いことのようなイメージになってしまい、必ずしも良いこととも限らないので、誤訳になりかねません。

「意味のある差」では、統計学でいう「有意(statistically significant)」というニュアンスが出そうで、これも誤解を招きそうです。


ChatGPTに相談すると「実質的」、「無視できない」、「重大な」を勧められました。

しかしです!「実質的」は、「形式的、名目的」の反意語であり、そのような対比は意図していないはず。

また「無視できない」は、意味は合っているものの、否定形です。わざわざ否定することもないでしょう。

「重大な」としてしまうと、あたかも程度が非常に大きい、という誤解を生みそう――そこまでは明言していない。


考えあぐねた末、私は「かなりの程度の」と訳すことにしました。

都合のよいことに、日本語の「かなり」は、「何かの程度が無視できないほど大きいことを表す」ことだと日本語の文法のサイトに載っていることが確認できました。


ところがです!「meaningful exposure」や「meaningful allocation」という表現にも遭遇しました。

その意味は、ファンドの運用結果に実質的な影響を与えるほどのエクスポージャーや資産配分です。

これを「かなりの程度のエクスポージャー/資産配分」と訳すと、とても大きなエクスポージャー/資産配分のような響きがあり、誤解されかねません。


そこで、この場合は「結果に実質的な影響を与える程度のエクスポージャー/資産配分」と訳すしかないかと思います。


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参考:かなり (日本語能力試験 N3)




2026年6月26日金曜日

最近よく見かける業界用語 ― Platform

日本語で「プラットフォーム」と言えば、多くの人は次の3つの意味のいずれかを思い浮かべるでしょう。 
  • 駅のプラットフォーム 
  • 特定の目的のためのソフトウェア 
  • 売り手と買い手をつなぐ基盤(Google、Apple、Facebook、Amazonなどが代表例) 

しかし、オルタナティブ投資の世界では、英語の platform は上記の2の意味でも使われますが、それ以外にも実にさまざまな意味で「基盤」や「土台」を表すことがあります。 私がこれまでに目にした platform の例には、次のようなものがありました。 
  • 投資案件の発掘に役立つ、業界のプレーヤーとの間に築かれたネットワークや関係性 
  • 証券を発行するための基盤 
  • 社内で特定の役割を担うチーム 
  • バイアウト案件における中核的な投資先企業(後にアドオン投資するための土台になる) 

このような場合、単にカタカナで「プラットフォーム」と訳してしまうと、何を指しているのか分かりにくくなります。そのため、文脈に応じて「○○基盤」「部門」「投資先企業」などと訳し分けています。

単なるカタカナ化を避けることを、私はみなさまにもお勧めします。

2025年12月4日木曜日

翻訳者泣かせの「Public Airlines」と「Private Airlines」の定義✈️


「public and private airlines」という表現は、実は文脈によってまったく異なる2つの意味があります。和訳すると別物になるので注意が必要です。


1. 航空会社の所有者に注目する場合

  • public airline = 政府が所有する国営航空会社

  • private airline = 個人投資家や機関投資家が所有する民間航空会社

2. 航空会社の所有権がどのように取引されているかに注目する場合

  • public airline = 株式が証券取引所で売買されている上場航空会社

  • private airline = 非公開航空会社


ChatGPTによると、英語圏では 2. の意味で使われることが多い そうですが、1. の意味でも使われることがあります。


さらにやっかいなことに、最近 「state-owned vs public airlines」という表現も見かけました。これは1. と2. が混在しているため、訳し分けが必要です。すなわち「国営航空会社 対 上場民間航空会社」となります。


こうした細かな違いが大きな意味の違いにつながるのが英語の難しさであり、翻訳者として特に注意を払う点です。✍️✨


2025年11月22日土曜日

翻訳者にInDesignのスキルは必要か?

 

今年いただいた翻訳案件の中には、元データがInDesignで作成されたものが数件ありました。

クライアントはそれらをPDF化して送ってくださったのですが、私はそれをパワーポイントに変換し、日本語に翻訳して納品していました。

しかしこの方法には、次の欠点があります:

  • クリックで文字が表示される「ポップアップ」機能が使えなくなる
  • グラフが崩れてしまうことがある
それでも長らくInDesignを避けてきました。

というのも、7年ほど前にInDesignを使った際、ソフトを起動するたびに大量のデータが自動的にダウンロードされ、通信量が膨大になってしまい驚いた経験があったためです。以来、できるだけInDesignを使わずに済ませてきました。

しかし、最近はクライアント側のデザインが複雑になるにつれ、パワーポイントに変換して修正する作業そのものが非常に手間となり、負担を感じるようになってきました。

最後にInDesignを使ったのは相当以前で、使い方もすっかり忘れていました。そこで、以下の入門書を購入しました。

『世界一わかりやすい InDesign 操作とデザインの教科書[改訂2版]』

文字サイズを変えるにしても、行間を設定するにしても、WordやPowerPointとは操作がまったく違うので最初は戸惑います。しかし慣れてくると、InDesignならではの便利さも少しずつ実感できるようになってきます。

この本はとてもよくできていて、練習していく過程も意外に楽しいものです。指示どおりに進め、分からないところはChatGPTに尋ねると解決できます。



2025年9月5日金曜日

クライアント業務でChatGPTを活用した初体験

 先日、クライアント様から大型案件の翻訳の打診がきました。「完了まで1か月ほどかかります」と見積もりを伝えました。


クライアント様からの返信がしばらくなく「やはり、1カ月はかかり過ぎか」とあきらめかけた矢先、よく調べてみると、その文書はすでにインターネット上で公開されていることに気づきました。つまり、機密性の問題を気にせずにChatGPTを活用できる状況。そこで「AIの力を借りれば、翻訳をほぼ半分の時間とコストで提供できるでしょう」と再提案を出したところ、クライアント様は即決で了承してくれました。


クライアント案件でChatGPTを統合して活用したのは今回が初めてです。まず、使用制限のゆるい有料版を開始したけれど、最初の数時間は試行錯誤と苦労の連続でした。

例えば、

  • ファイルをアップロードしようとしたところ、できない!→アップロード用のアイコンがない場合は、ドラッグすればできることが判明。
  • ファイルのダウンロードができない!→ファイル名を日本語から英語にするとできることが判明。
  • レイアウトができない!→人間がやるしかないことが判明。


翻訳の精度で言えば、業界で新しい専門用語は人間による書き直しが必要であることが分かりました。また、1カ所だけ数字を間違えていたのには驚きました。


全体的に、結果は非常に前向きなものでした。生産性はほぼ2倍となり、納期を短縮すると同時に、時間当たりの収益も約70%向上させることができました。


AIが実務にどのように付加価値をもたらせるのかを探る良い機会となり、今後も品質・スピード・価値のバランスを追求していきたいと思います。

2025年8月2日土曜日

ChatGPTの精度と情報漏洩

驚いたことに、ChatGPTの精度は約95%で、残りの5%は「もっともらしく見える誤情報(ハルシネーション)」だそうです。


この情報は、ChatGPTの2025年7月版のシステムカード(AIの仕組みを解説した公式文書)によるもので、自社がそのように説明しているのですから間違いないでしょう。


私は、もっと精度が高いものと思い込んでいました。翻訳の仕事をする際には、あくまでも参考として、ChatGPTをよく使っていますが、私の周囲にはChatGPTを100%信頼しているかのような翻訳者もいます。また、「AIの影響で人間の翻訳の仕事が減っている」という話もよく耳にします。


その一方で、特に金融分野においては、その5%の誤りが重要な情報だった場合、大きな問題になるリスクがあるということです。


さらに、同じ情報源によれば、ChatGPTが個人情報をインターネット上にうっかり漏洩してしまうリスクは約9%あるとのこと。これもかなり衝撃的な話です。翻訳者として、顧客の機密情報を扱う際には、無料版のAIサービスを使うべきではないと、あらためて感じました。


[参考]

OpenAI, 2025年7月17日, ChatGPT Agent System Card

2025年7月2日水曜日

金融翻訳者を悩ませる「underwriting」という言葉


金融の世界では、同じ単語がセクターによってまったく異なる意味を持つことがあります。「underwrite」もその一例です。

株式や債券の分野では、underwrite は「引き受け」を意味します。つまり、企業が新規に発行した証券を証券会社がいったん買い取り、後に投資家に販売することを指します。

一方、不動産投資の分野では、underwrite は対象不動産の投資分析を行い、適正な投資価格を算出することを意味します。業界ではカタカナで「アンダーライト」と言うようです。証券の「引き受け」とは異なり、この段階ではまだ資金を投じていないのです。

さらに、不動産ファイナンスの分野では、underwrite は融資の評価を行うことを指します。不動産投資における用法に近く、私は「融資評価」と訳しています。


*参照:「不動産ファンドがよ~くわかる本」

2025年6月20日金曜日

金融翻訳では、ときおり「逆」が正しいこともある


頭が疲れているときに翻訳作業をしてはいけない——これは、昨晩あらためて感じたことです。


クライアントの資料の中で、投資ファンドのパフォーマンスを四分位に分けてランク付けしている文書に出会いました。(四分位とは、データセットを25%ずつ4つに分ける手法です)。今回の文書では、上位のファンドが「1st quartile」に分類されていました。


さて、これを日本語でどう訳すべきでしょうか?


辞書によれば、あるいは統計学的に厳密に訳せば「第1四分位数」となります。これは正しい訳なのですが、日本語でこの言葉を見ると、「下位25%」という意味に受け取られてしまいかねません。


しかし、文脈を見ると筆者が言いたいのは「上位25%の好成績ファンド」なのです。

この場合、適切な訳は「上位25%」またはそれに準じる表現の方が明らかに誤解を防げるでしょう。


なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

調べてみると、投資業界では「四分位ランク」が一般的に使われており、ランクの数字が小さいほど成績が良いというルールがあるようです。そう考えれば納得がいきます。


一方で、統計の一般的な使い方では「第1四分位数」はデータの下位25%を指してしまいます(下記の図をご参照ください)。



金融翻訳者は、こうした言葉の落とし穴に常に注意を払う必要があります。

正確に訳したつもりでも、意図の真逆になってしまうことがある——それが金融翻訳の奥深さでもあります。

疲れていると、つい深く考えずに言葉をそのまま置き換えてしまいがちです。しかし、プロの訳者はそれを避ける術を知っています。つまり、必要なときにはしっかり休むことが大切だということです。


[参考]

What is quartile ranking?

Explained: What is quartile ranking in mutual funds and how to analyse schemes using this ranking


2025年3月27日木曜日

パワーポイントの翻訳


最近、パワーポイントを使った大きな翻訳案件を終えましたが、自分の進め方に問題があったと反省しています。忘備録として、改善点をまとめます。

最も問題だったのは、翻訳とレイアウト調整をほぼ同時に進めたことでした。

今回の文書は、InDesignで作成され、PDFに変換された英文の和訳でした。顧客からは日本語版をワード形式で納品するよう求められましたが、図表のレイアウトが大きく崩れる(次のページにずれ込むなど)ため、日本語版をパワーポイントで納品することで同意してもらいました。

この文書には特徴があり、見開き(左右のページが対になって1ページに収まる形式)で作成されているうえ、ボックス内に文章がぎっしり詰まっていました。このようなレイアウトを扱うのは初めての経験でした。

顧客からは、できるだけ早く納品してほしいと言われていました。作業の効率化を図るため、パワーポイントに訳文を直接上書きする方法を選びましたが、これが問題でした。表示を拡大するたびに見ている場所の位置がずれたり、画面が揺れたのです。さらに、文字同士や図表と文字が重なることもあり、レイアウト調整に気を取られ、翻訳に集中できないうえ、眼精疲労も悪化しました。

何とか納品しましたが、もっと良い訳ができたのではないかという思いが残り、タイポも発生してしまいました。

この反省を踏まえ、次回からは以下の手順で進めたいと考えています。


今後の進め方

  1. 文章部分の見積もりはワードで行う

    • 顧客からPDFの原稿を受け取ったら、パワーポイントに変換し、ボックス内の文字をワードに貼り付ける。

    • ただし、小さなボックスは手間がかかるため、見積もり時には無視する。

    • この作業は面倒だが、料金と所要時間を正確に見積もるために役立つ。(PDFからワードに一括変換してからワードの文字カウント機能を使ったところ、ボックス内の文字が正しくカウントされていないことに気づいた。)

  2. 翻訳は基本ワードで行う

    • 訳文の入力、原文との比較チェック、AI訳との比較をワード上でする。

    • 訳文を音読することで、自然な表現かどうかを耳で確認する。

    • 図表の翻訳は並行してパワーポイントで作業する。

  3. ワードで完成した文章をパワーポイントに流し込み、レイアウトを整える

    • 推奨書式:

      • フォント:Yu Gothic UI

      • 字間:標準

      • 行間:1.2

  4. 完成したパワーポイントをPDFに変換し、スムーズに読めるか確認する

    • 金融業界の人は忙しいため、素早く理解できるかが重要。

    • 読みにくい箇所があれば修正する。

  5. A3用紙に印刷し、数字やタイポをマーカーでチェックする

    • 環境負荷はあるが、1つのタイポが大きな印象ダウンにつながるため、紙とマーカーペンを使った最終チェックをする。


パワーポイントでの翻訳には特有のコツが必要なため、これを避ける翻訳者もいるようです。しかし、私は積極的に受けるようにしています。その理由は2つで、まず、もともと自分がグラフィックデザインに興味があり、ビジュアル表現が好きだから。そして、私の顧客(海外の運用会社など)は、日本市場向けの営業資料としてパワーポイントを使用することが多いためです。

今回の反省を踏まえ、次回はより効率的に進めたいと思います。

2025年2月11日火曜日

「流通利回り」は英語で何と言うのでしょうか?


 「流通利回り」は保険契約において登場することがあります。この意味についてオンラインで調べると、「流通市場で債券を購入し、満期まで保有した場合の利回り」と説明されているものをいくつか見つけました。


しかし、ここで疑問が生じました。それでは「最終利回り」と同じ意味ではないでしょうか?何が違うのか、もし同じ意味だとすれば、なぜ異なる呼び名が2つ存在するのでしょうか?


「最終利回り」の意味を調べると、「流通利回り」とほぼ同じ説明が出てきますが、「償還差損益を含む」という文言が追加されています。これが気になる点です。


かなりの時間を費やして調べ、確信を持てるわけではありませんが、以下のような結論に至りました。

意味自体は同じであるものの、何を強調したいかによって使い分けがされているようです。


つまり、「流通利回り」は「応募者利回り」と対比して使われるようです。債券を購入した市場が、前者が流通市場、後者が発行市場である点が異なります。


一方で、「最終利回り」は「所有期間利回り」と対比して使われるようです。保有期間が、前者が満期まで、後者が売却時までという点が異なります。


そのため、保険契約内では「流通利回り」を使用することで、「応募者利回り」ではないことを強調したいのではないかと考えられます。


さて、肝心の英訳ですが、私のおすすめは以下の通りです:

流通利回り → yield to maturity (YTM)

これに対する「応募者利回り」は、yield to maturity (YTM) at issue となります。


ちなみに、アルクのオンライン辞書では「流通利回り」を「distribution rate」や「distribution yield」と訳していますが、これらは違うように思います。


さらにChatGPTに聞いてみると、「流通利回り」=「直接利回り」と説明しており、これも違うと思います。



2024年11月8日金曜日

同じ言葉なのに真逆の意味を持つ英単語2選

 

1. Lease

リースを動詞で使う場合、「貸す」という意味と「借りる」という意味の両方の場合があります。


例:

  • The private equity fund leases aircraft to airlines. 

このプライベートエクィティ・ファンドは航空機を航空会社にリース契約で貸している。

  • The factory leases the equipment from the manufacturer.

この工場では、設備や機器をメーカからリース契約で借りている。


おもしろいことに、日本語でも「リースする」は、「貸す」と「借りる」の両方の意味で使われているようです。


2. Sanction

この「sanction」という英語も、「正当と認める」という意味と「問題があるので、制裁措置を取る」という真逆の意味であちこちに登場します。


なにか、モヤモヤ感があって、翻訳者としては「どっちかに統一してくれ!」と言いたくなります。しかし、言葉は自然発生的に起こるもの。なので、こういう単語に関しては、前後の脈絡で判断することが、ますます重要になるでしょう。

2024年10月26日土曜日

Working capital の和訳は何?

Working capital を運転資本と訳すべきか、運転資金と訳すべきか、どちらでもいいのか分からず、モヤモヤしていたため、情報を整理しました。その結果が以下です。


以上から、英和では、Working capital を 運転資本と訳すのがベストだという結論になりました。


和英の場合は、日本語の運転資本が Working capital または Net working capital であるという2つの可能性があり、文脈で判断する必要がありそうです。同様に、運転資金は Net working capital または operating costs and expenses のどちらかである可能性を考えた方がいいと思います。


ワーキング・キャピタルという用語も定着してきましたが、カタカナだらけの翻訳になるのをできるだけ避けたいと思っています。


参考:

CFI Education Inc. Net Working Capital

2024年6月1日土曜日

巷のひどい翻訳について考える


最近引き受けた翻訳依頼の2件は、印象的でした。


1件は、ある翻訳会社から納品されたものがあまりにも粗悪だったため、手直ししてほしいというものです。ちょっと見ただけでも原文の「増加」を「減少」と真逆に訳していたり、専門知識のなさを露出する誤訳がありました。


結局、それは最初から改めて訳した方が早くて安い、という結論になりました。


もう1件は、依頼主が英語圏の人で、自社の和訳に対するクレームが多いため、チェックしてほしい、とのことでした。確かに文法から業界事情まで、理解が不足しているらしい人の翻訳です。私は、何がどう間違っているのかを英語で説明し、和訳をほぼ全面的に修正しました。


今までも、びっくりするような、ひどい誤訳はさんざん見てきました。(たまに素晴らしい翻訳にも出会いますが。)


翻訳業界は、このままで良いのだろうか、私にできることはないだろうか、などと悩んだりもします。心情的には、苦しんでいる人が道端にバタバタ倒れているのに、知らんぷりして素通りしていいのか、というような。。。何か世間に発信できないだろうか?これまで見てきた誤訳を面白おかしく列挙して、ウェブで暴露してやろうか、などとも考えました。


しかし、一介のフリーランス翻訳者が業界全体を変革できるとは思えません。自分の生活を賄うだけでも大変なのに。


そこで昔のことを思い出しました。私が社内翻訳をしていた頃、ひどい翻訳をしていた人たちが二人いました。この人たちは英語が得意だったものの、翻訳対象の商品やサービスについて知ろうしなかったため、社内での評価が低かったのです。二人のその後を見ると、今は翻訳でない仕事をしています。


要するに、市場は粗悪なものを淘汰するのです。


他の業界を見ても、例えば、戦後間もない日本では安いアルコールを後から混ぜた粗悪なウイスキーが販売されていたそうです。そのようなウイスキーは、時代と共に消滅し、一方でずっと真面目にやってきたサントリーが今は「山崎」というブランドで世界一と称賛されています。


ですので、フリーランスの翻訳者は、ひどい翻訳をする他の翻訳者や翻訳会社を非難したり攻撃することに時間とエネルギーを使わず、その代わりに自分の翻訳の質を高める努力(語学と専門知識の勉強)をした方が、長い目で見れば効率が良いのではないかと、今は思っています。

2023年6月27日火曜日

有価証券をmarketable securitiesと訳すのは止めましょう!

昔は、金融商品といえば、もっぱら株式と債券だったので、

「有価証券」=「marketable securities」

でも問題が無かったのです。


しかし、最近になって商品の種類が増えたため、これが成り立たなくなってきました。


結論から言うと、

「有価証券」= 「securities」 が正しいでしょう。


DeepLやアルクの辞書も、古い翻訳慣習を引きずっているようなので要注意です。


解説しますと、marketableとは、「取引市場ですぐに売って現金に換えられる」という意味です。

しかし有価証券のなかでも、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルの持分証券は、原則、取得したらファンド期間の最後(10年間ぐらい)まで保有し続けるものなので、簡単にどこかで売ることができません。これらはmarketableではないのです。


参考:Investopedia. Marketable Securities



2023年4月13日木曜日

手作りの英語ホームページで翻訳の仕事を海外から受注できた話

日本に住みながら海外の顧客から翻訳の仕事をもらいたい。

そう思って英語のホームページを作りました。

開設から1年半も待った結果、ようやく最近、数十万円相当の受注につながりました。

「私もチャレンジしたい」と思う方のため、以下に自分の体験を書きます。

 

おそろしく少ないアクセス数 

サイト開設時からのアクセスは以下のとおりです。


アクセスが1日1件あるかないかで、これで仕事が来たのが不思議なぐらいです。

しかし、よく考えてみれば、私のサイトは不特定多数の人向けではありません。お客さんの業種、分野、翻訳の用途をきわめて狭く絞っています。

そして私は個人の翻訳者なので、ホームページから新規顧客が1年に1社来てくれるだけでも十分に助かるのです。

新規のお客さんがリピート客になってくれる可能性もあります。

 

海外のお客さんに直接売り込みたいと思った理由

 

1.荒れている国内翻訳市場

英語のできないお客さんは、「安い方がうれしい」と感じている様です。それ以外に判断基準がないからです。

特に今は日本の景気が悪いので、翻訳コストを削減すれば会社の利益になるため、相見積もりを取って安いところを探しています。

低価格競争の中で翻訳は低品質化に向かうしかありません。私から見て、「これは…!」とあきれた翻訳もずいぶん見ました。

もはや翻訳者を信用しなくなったお客さんにも会いました。つまり、翻訳者が仕事欲しさに、できない仕事もできるとウソをつくというのです。「正直に言ってくれ方が助かります」と顧客から言われました。

その一方、英語のできるお客さんは自分で翻訳してしまいます。その方が速いからです。

コロナのせいで予算が減り、外注を止めて社員が翻訳するようになったところもあります。

総じて、国内で和訳のサービスを売ることは「エスキモーに氷を売る」に近いと私は考えています。日本人は教育レベルが高く、ある程度は英語ができるし、AI翻訳も精度が上がってきました。翻訳者は過当競争を避け、海外に打って出るべきだと思います。


2.日本のお客さんは意思決定が遅い

発注担当者は、取り次ぐだけで発注を決定する権限がないことがよくあります。上司の決済をもらわねばなりません。そういう事情なので、私としては見積もりの期限を長く設定してあげるのですが、待っている間に別の問い合わせが来て、そちらを断ると、先の問い合わせも結局折り合いがつかなかったりして、商機を逃してしまいます。その点、海外のお客さんは即決してくれることが多いので、大助かりです。


3.今が海外に売り込むチャンス

やはり営業は対面が一番効果的だと思うのですが、海外の場合はそうそう訪問するわけにもいきません。しかし、コロナのおかげで、リモートで注文する習慣が根付いた気がします。さらに円安だし、日本は物価は安いので、ドル建てで払ってもらう場合、海外のお客さんにとって割安感があるはずです。


4.海外のお客さんからフィードバックがもらえる

分からないことがあった場合、または原文のミスを見つけた場合、海外のお客さんにメールすれば、大抵はすぐに答えてくれるので助かります。これに反し、日本の現地法人が間に入る場合、「何か分からないことがあったら聞いてください」と言ってはくれるものの、そもそも短い納期を要求してくるので、質問していたら約束の納期に間に合わないのです。

 

ウエブサイトの英文は完璧でなくていい

私は英日翻訳者で、英語ネイティブではありません。英語は、海外の顧客と意思の疎通ができる程度に書ければよいと思っています。

したがって、英語でウエブサイトやブログを書くときはネイティブチェックを誰にも頼みません。どのみち海外から問い合わせがきたときに、英語で返答するので、そこで英語力が分かってしまいます。だったら初めから限界を知ってもらった方が、信頼されるかと思います。

ただし文法をチェックしてくれる無料のアプリがあるので、それは利用しています。

 

お金はできるだけかけたくない

私は日本語のホームページを持っています。それに英語のページを追加すれば一番安いのですが、英語を入力すると、単語の変なところで改行してしまうので、英語ページの追加は止めました。

新たにホームページを外注すると数十万以上かかってしまうため、手作りにしました。これによって年間費用は、トータルで3万円ぐらいで済みます。内訳は以下のとおり。

  • メールアドレス代:9,768円
  • サイト代:19,800円
  • ドメイン代:3,080円


合計:32,648円

プラス、作成時に参考にした本の費用:6,867円


ただし、自分の人件費は費用に入れていません。

 

簡単に作りたい

コードを書かなくてもウエブサイトが簡単に作れるアプリを提供する業者がいろいろありますが、私は大手の Wix.com を選びました。

デザインはテンプレートを使えば手っ取り早いのですが、より自由度の高いブランクの形式から始めました。

 

何をどう書けばいいか

「英語ウエブサイトの構成と発想は日本語ウエブサイトと違う」と、英語ネイティブの知り合いの翻訳者が言っていました。

日本語のホームページを単に英訳すれば良い、というわけではないようです。

そこで、コンテンツとデザインを考えるにあたり、以下の本を参考にしました。

 

こうした過程を経て出来上がった私のホームページは、こんな感じです。

https://www.kimoto-alternative-investment-translations.com

 

最後に

私のサイトの場合、Google 検索で人目に触れるまでに、1年ぐらいかかったと思います。長期戦の覚悟でいた方が良いと思います。

問合せがあったならば、相手がちゃんとお金を払ってくれそうかどうか確認する必要もあります。

例えば、米国の金融業界の投資ファンドならば、米国証券取引委員会(SEC)に登録されているので、信頼性をチェックできます。

またLinkedInのCompany pageその他、複数の第三者サイトで信頼性を確認したり、自分の直感で判断する必要があります。海外のお客さんから不払いになった場合、救済手段はほぼ無いと思います。 

さらに、これからキャリアを始めようとする方が翻訳者になることを私はお勧めできません。おそらくAI翻訳のチェックが主流になると予想するからです。やるとすれば、ニッチな専門分野で副業として翻訳するならば、面白みがあるかなと思います。

ベテラン翻訳者のみなさん、どう思いますか?


  おもしろかったらクリックしてね♪

 

 

2023年1月13日金曜日

イスラエルと日本をつなぐ人 –– ガル・ベレット(Gal Vered)氏


最近私は、イスラエルのスタートアップ企業を紹介する文章を翻訳する仕事に関わり、それに関連し、ガル・ベレット(Gal Vered) さんという方に会いました。彼はなんと、日本語も英語もヘブライ語も流暢なのです。本業は、国境を越えたビジネス・マッチングで、翻訳や通訳もされるとのこと。いったいどんなふうに、お仕事をするのでしょうか?大変興味深いので、お話を聞いてみました。

 

日本とイスラエルは近くなる

2023年3月から日本―イスラエル間の直行便が就航し、11時間で行けるようになります。マスメディアの影響で「中東はこわい」というイメージがあるかもしれませんが、イスラエルの治安はそれほど悪くなく、気候や食べ物も良いし、技術立国なので、ビジネスチャンスもあります。

 ベレットさんは最初、海外の知人や友人から、日本の取引相手との仲介を頼まれていたのですが、それが度重なったことから「事業として成り立つのではないか」と考え、ビジネス・マッチングに特化した株式会社ノゾミを10年前に起ち上げました。

 

ビジネス・マッチングは楽ではない

仲介キャリア30年のベレットさんといえども、様々な苦労があるようです。例えば、

  • 日本企業の品質へのこだわりが高すぎる。アメリカ人ならば、多少何かが歪んでいても気にしないのに、日本企業はクレームを出す。
  • 日本人のサービスへの期待。日本企業はトラブルがあったら、すぐに対応することを期待するが、海外企業との取引では、時差があって難しい。
  • 日本人はミーティングで、面と向かって相手に本音を言わない。ベレットさんは、後から一緒に食事するなどして、本心を聞き出す工夫もするそうです。

対立が起こると、どちらの言い分に筋が通っているのかがはっきりせず、グレイなこともあるそうです。

仲介業は、グローバルな人脈、貿易・海運・物流の知識、国際取引の経験が要るため、ある程度齢を重ねないと良い仕事ができないそうです。

 

イスラエルの技術

ベレットさんが日本の代理業者となっている Keter Group は、世界最大の樹脂材消費財メーカーです。同社は現在、環境に優しい樹脂製品を開発中。

さらにベレットさんがアドバイザーを務めるCorundum は、日本とイスラエルの両国に拠点を持つ唯一のベンチャーキャピタルで、そのアドバイザリーボードには、ノーベル賞受賞者がいます。

イスラエルは農業のバイオテクノロジーも進んでいます。なにせ砂漠で食料を生産しているのですから。食料自給率を上げたい日本にとって、学ぶことがあるかも知れません。

 

株式会社ノゾミは、フットワークが軽い

ベレットさんはヨーロッパを訪問する日本企業に随行することもあるそうです。英語を話せる人材が不足する会社ならば助かるはず。

どんなに商品が良くても、「この人たちと取引したくない」と思われたらアウトなので、忍耐強く人間関係を築くことが肝心です。

「話を聞きたい」という私のリクエストにもすぐに応じてくれ、横浜で1時間ほど会ってくれました。その日の午後に関西に出張するという忙しさにもかかわらず、私の質問に対して嫌な顔一つせず、忍耐強く答えてくれました。

 

「どちらの側にもつかない」というポリシー

企業同士が提携する場合、短期的な利益がメインではなく、技術が次のステップにつながるかどうかという長期的な戦略が大事とのことです。

イスラエルに強みがあり、日本に貢献できそうな分野で、ベレットさんが理解する業界と商品ならば対応可能だそうです。

ベレットさんは、対立が起こったとき、どちらの見方もしません。つまり、必ずしもベラドさんにお金を払う側につくとは限らないのです。双方が満足しないと長い付き合いにならないからです。正直さ、理解、信頼を土台として「衆望を担う」のがポリシーです。 

  

翻訳者に伝えたいこと

ベレットさんが3か国語で経済誌やSNSを読んでいて気付いたのは、ある言語の記事が別の言語に勝手に翻訳され、インターネットに載っている場合があることです。これは違法行為です。翻訳者は自分でもやらないようにし、頼まれたら断るようにしましょう。パクリは、ばれます! 


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株式会社ノゾミ


〒231-0849 横浜市中区麦田町1-4-403

代表取締役:ガル・ベレット(Gal Vered)氏

ベレットさんは、日本とイスラエルの両方に生活基盤があり、奥さんはイスラエル在住、2人のお子さんはフランスとオーストリア在住という国際派。親戚がイタリアとベルギーにいらっしゃるそうです。世界中の穴場を知っていそうな感じですね。

ベレットさんはメールではビジネスライクですが、お会いしてみると物腰が柔らかな方という印象で、世界史を語り出せば止まらない知的な方でした。




2022年5月4日水曜日

Courseraで期限の切れたコースを続行する方法

翻訳の仕事に役立てようと、「人工知能」の講座をCourseraから取っています。

昨年は「機械学習」を取りました。なかなか良かったので、その次の段階として「Deep Learning Specialization」を取ってみました。

予備知識としてPythonを知る必要あります。これもCourseraで「Programming for Everybody (Getting Started with Python)」で習いました。講師の教授は気さくな方で、分かりやすく教えてくれます。

さて、Deep Learningは全部で5コースあります。どれぐらいの期間で終えることができるのか分からないため、とりあえず1ヶ月間で申し込んでみました。料金は5千円ぐらいです。

1か月が過ぎ、「期限が切れたので、継続するには追加料金を払ってください」というメールが来ました。

私は5コース中の2コース目に入り、継続するつもりです。

ところがメールにあるリンクをクリックしても、追加料金を支払うためのボタンがありません。

「あなたはすでに登録しています。」というボタンしかなく、いっこうに埒があかない。

どこを調べても分からず、ヘルプセンターにメールで問い合わせたものの、アメリカのことですから返答はいつくることやら。Courseraは安いので、返答無しの可能性もありです。

いろいろと試してやっと分かったのは「My Courses」の以下をクリックするということでした。


この青い縦の「…」をクリックすると「Update」というオプションが出てくるので、クリックすると1ヶ月、3か月、6か月の中から追加の支払いを選択できます。

ちょっと翻訳とはズレた話ですが、同じ問題で悩んでいる人もいるかもしれないので、ブログにしてみました。

ちなみに、こういうところにも日米の文化の差異を感じます。米国は一握りのスーパースターがCourseraのような世界を変える新しいものを創ることに長けています。対照的に日本では「抜け、漏れの無い、信頼性の高い、均一で完璧な」サービスをみんなで一緒に作ろうとする傾向にあると思うからです。

さらに教育のあり方についても日米の差異をひしひしと感じます。

米国では大体の概念をつかむことを大事にします。その方が大胆な発想ができそうです。対照的に、日本では細部まで正確に覚えることを要求することが多いと感じます。日本で「優秀な人」とは「間違えない人」なのでしょう。

2020年7月12日日曜日

アクチュアリー英語(生保)

本用語集を作るに至った経緯

保険約款などの英訳を依頼されると、まず最初に日本語の原文の内容理解に苦しみ、次に訳語の選択に悩みます。

例えば、現価率「 ν 」の英訳は普通の辞書に載っていません(2018年6月現在)。

インターネットでやみくもに検索してみると「present value rate」「current value rate」「discount rate」などが出てくるものの、いったいどれが適切な訳なのでしょうか。

もし「discount rate」とやってしまうと割引率と一緒になって混乱をまねく気がします。(割引率の定義は d = i/(1+i)である一方、現価率は ν = 1/(1+i)と、意味が違うのです。つまり割引率と現価率を足し合わせると1になるのです。)

以下では、信頼できる情報源(日本と米国のアクチュアリー会の教科書)から抜き出した生保用語を対訳にして蓄積してあります。

これによって一定水準の翻訳の質が保証でき、翻訳作業の悩みが減ることを目指しております。

以下が主な用語です。

計算基数 

保険や年金の現価の計算を簡単にするため、生命表から計算された数(Dx、Nx、Cx、Mxなど)。英語のテキストではこれに相当するものが、今のところ現れていません。

現価率 Discount factor

ν = 1/(1+i) 

割引率 Rate of discount

d = i/(1+i)

生存関数 Survival function: 

x歳の人が時刻tでまだ生存している確率
Sx(t) = tPx
It represents the probability that a life aged x survives for at least t years.

Fx(t) = 1 - Sx(t) = tqx

分布関数 Lifetime distribution function: 

x歳の人が時刻tまでに死亡する確率
It represents the probability that a life aged x does not survive beyond age x + t.

x歳における死亡率 Mortality rate at age x.

qx 予定死亡率は保険料の計算に使う死亡率。

死亡指数 Constant multiple of mortality rates multiplied by 100

標準者の死亡率を割り増しする比率を100倍したもの

最終年齢 Limiting age

ω : Survival beyond this age is not possible.

事由 State

英語で一番近いと思われる訳

死力 Force of mortality

μx : Also known as hazard rate or failure rate.

完全平均余命 Complete expectation of life


略算平均余命 Curtate expectation of life

生存する年数の端数を切り捨てて平均したもの
e x : The number of whole years lived in the future by an individual

選択期間 Select period 

死亡率が年齢のほかに契約時からの経過年数にも影響される期間
The period after which the age at selection has no effect on future survival probabilities.

選択表 Select life table


終局 X Ultimate x

選択期間後の(生命表)
(period, mortality, table) of the select period

終局表 Ultimate life table


年金現価 Discounted value of an annuity


年金終価 Accumulated value of an annuity


利力/連続複利 Force of interest per year/continuously compounded rate of interest


年金原資 Present value of the annuity plus maintenance cost

名称利率:Nominal interest rate: 

1年に転化回数が k 回で、実利率 i ÷ k で転化される。
注:インターネット上でアルク、Weblio、生命保険文化センター和英辞典で調べてもヒット数が0で、紙ベースの「金融・会計用語辞典」、「金融・証券・保険用語辞典」でも見出しがありません。(2018年7月現在)
英和辞典を引くと「表面利率」「名目利率」しか出てきません。「表面利率」は債券用語で、計算方法は同じです。「名目利率」は経済用語で、実利率+インフレ率です。
i (K) The interest rate per period, i/k, is compounded k times per year.

実利率 Effective interest rate

実利率 i の資産運用が期間 n のあいだ継続されるならば、期間 n 後の金利は、 (1+i) n - 1 となる
The annual effective interest rate, if compounded annually, will yield the amount of interest per year.

予定利率 Assumed interest rate

保険料の計算に使う利率

保険期間:Term of the policy

被保険者:the insured

永久年金 A perpetuity

保険料 Premium

営業保険料 Gross premium

純保険料+付加保険料。保険契約者が払い込むもの。
 (office premium): Its calculation explicitly allows the company's expenses.

純保険料 Net premium

予定死亡率(あるいはその他の事故発生率の予定)と予定利率とから計算した保険料。保障に必要な部分。将来の保険金支払いのために責任準備金として積み立てられる。

一時払保険料=保険現価 Single premium

保険契約締結の際にのみ払い込み、以後払い込む必要のない保険料。
A single premium is payable at the outset of the contract.

予定死亡率  Assumed mortality rate

採用した生命表の示す死亡率

予定利率 Assumed interest rate

利息の計算に使用する利率

保険金 Sum Insured


一時金 Single lump sum


給付金 Benefit/Cash benefit

Benefits include the sum insured on the death of the policyholder

死亡保険金 Death benefit


生存保険金   Survival benefit/Living benefit

満期時に生存しているときに支払うもの


給付金 Benefit/Cash benefit

Benefits include the sum insured on the death of the policyholder

期末払(年金)Payable annually in arrear


期始払(年金)Payable annually in advance


生存保険  Pure endowment

所定の期間経過後に被保険者が生存していれば一時金を支払うもの

定期保険  Term insurance

保険期間が定まっている死亡保険
Term insurance pays a lump sum benefit on the death of the insured provided death occurs before the end of a specified term.

終身保険  Whole life insurance

保険期間が定まっていない死亡保険
Whole life insurance pays a lump sum benefit on the death of the insured whenever it occurs.

養老保険  Endowment insurance

定期(死亡)保険+生存保険
Endowment insurance offers a lump sum benefit either on the death of the insured or at the end of a specified term, whichever occurs first.

年金  Annuity

An annuity is a benefit in the form of a regular series of payments.

生命年金  Life annuity

生存していれば年金を支払うもの
A series of payments to an individual as long as the individual is alive on the payment date..

終身年金 Whole life annuity

被保険者が生存するかぎり所定金額の年金を支払うもの。
A whole life annuity is a contract paying a level sum at regular invervals while the annuitant is still alive.

有期生命年金 Term annuity/term life annuity/temporary annuity

一定の期間において、受給者が生存していれば年金を支給するもの
The annuity is paid for some maximum period, provided the annuitant survives that period.

即時開始年金 Immediate annuity

注:上記は据置期間が無いという意味。「annuity-immediate」は意味が異なり、「期末払いの年金」になるので、紛らわしい。
The annuity commences as soon as the contract is effected.

据置年金 Deferred annuity 

The annuity commences payment at some future, specified date, if the annuitant survives to the payment dates.

確定年金 Annuity-certain/fixed-term annuity


期始払年金 Annuity-due


期末払年金 Annuity-immediate


保証期間 Guaranteed period

保証期間付生命年金で確定年金を支給する期間
If the annuitant dies soon after the annuity commences, there is some minimum payment period, and the balance is paid to the annuitant's estate.

総額保証付  Cash refund payout option 

支払われる年金額と死亡一時金額の合計が一時払保険料の金額で最低保証される。
The insurer offers an option that if the policyholder dies before the total annuity payments exceed the single premium, then the balance will be paid as a death benefit.


難しい金融英語9選

1 Amortization

住宅ローンや資産担保証券の場合は、元利均等返済と訳します。
(=A series of periodic payments is made, when these payments are equal.)

債券の場合は、アモチゼーション(その逆はアキュムレーション(Accumulation))と訳します。
(When a bond is purchased at a premium, the book value of the bond will be written down at each bond interest date, so that at the time of redemption the book value will equal the redemption value.)

どちらの場合も確定年金の計算式を使い、基本的にメカニズムは同じです。

両者の違いは、毎期減っていく対象が元利均等返済の場合は元本、債券の場合は取得価額と額面の差になります。


2 Embedded gain: 含み益


3 Employer and employees: 雇用主と被用者
「雇用者」という表現は、労働者を「雇う側」と「雇われる側」のどちらも意味しており紛らわしいので避けたいものです。
「使用者」と「被雇用者」または「従業員」でも明確にできるでしょう。

4 Expertise 専門的知見

5「Gross premium」と 「Gross premiums written」

一見似ていますが、「何がグロスなのか」という点が違います。

英語の「Gross premium」は、純保険料に「経費」を加えたという意味でグロスと言っており、対応する和訳に「営業保険料」があります。

その一方、「Gross premiums written」は、「再保険料」を加減する前という意味でグロスとしています。近い和訳としては「正味収入保険料(再保険料加減前)」でしょうか。「近い」とお断りしている理由は、日本語の「正味収入保険料」は解約返戻金と積立型保険の貯蓄部分を控除しているのに対し、英語ではそのような分類が見当たらないからです。

6 Gaming: ゲーミング
投資家よりも運用会社にとって、有利なパフォーマンス尺度になるような投資行為です。

7 Institutionalize: ~体系の構築/導入 

8 Proprietary deal flow: 従来の競争入札によらずに、投資の条件を決める案件。

9 Universe: 商品母集団
投資の目的に適格として選定された商品群。「銘柄ユニバース」という言い方が一般的になりましたが、上場株式でない商品もユニバースになり得ます。 

2020年6月17日水曜日

「手元/手許資金」と「手元/手許現金」の英訳

手元/手許資金とは?

手元と手許で漢字は違いますが意味は同じであり、現預金と短期保有の有価証券を合わせたものなので、英訳は「Cash and cash equivalents」という会計用語で大丈夫です。ビジネス文書では「Cash on hand」という表現もよく目にします。

これに似た言葉に「手元/手許現金」があります。
手元/手許資金より意味が狭くて、手元に保有している紙幣や硬貨など現金、いわばゲンナマ、イメージで言えばタンス預金や会社の金庫に入っている札束です。

これに対応する会計用語の英語は私は知りません。会計用語で「cash」というと銀行預金も含まれてしまいます。ですので「Cash in hand」または「Cash at hand」が妥当と思われますが、ビジネスの翻訳ではあまり使用する機会はないでしょう。

注意したいのは、金融業界で英和するときに「cash on hand」を「手元現金」と直訳する場合です。一般的な文書ならば必ずしも間違いではないかも知れませんが、会計にからむ話だと厳密ではありません。



参考
Goo国語辞書

Double entry bookkeeping

iFinance

Investopedia, “Cash and Cash Equivalents”

The Difference Between Petty Cash and Cash on Hand