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2022年5月4日水曜日

Courseraで期限の切れたコースを続行する方法

翻訳の仕事に役立てようと、「人工知能」の講座をCourseraから取っています。

昨年は「機械学習」を取りました。なかなか良かったので、その次の段階として「Deep Learning Specialization」を取ってみました。

予備知識としてPythonを知る必要あります。これもCourseraで「Programming for Everybody (Getting Started with Python)」で習いました。講師の教授は気さくな方で、分かりやすく教えてくれます。

さて、Deep Learningは全部で5コースあります。どれぐらいの期間で終えることができるのか分からないため、とりあえず1ヶ月間で申し込んでみました。料金は5千円ぐらいです。

1か月が過ぎ、「期限が切れたので、継続するには追加料金を払ってください」というメールが来ました。

私は5コース中の2コース目に入り、継続するつもりです。

ところがメールにあるリンクをクリックしても、追加料金を支払うためのボタンがありません。

「あなたはすでに登録しています。」というボタンしかなく、いっこうに埒があかない。

どこを調べても分からず、ヘルプセンターにメールで問い合わせたものの、アメリカのことですから返答はいつくることやら。Courseraは安いので、返答無しの可能性もありです。

いろいろと試してやっと分かったのは「My Courses」の以下をクリックするということでした。


この青い縦の「…」をクリックすると「Update」というオプションが出てくるので、クリックすると1ヶ月、3か月、6か月の中から追加の支払いを選択できます。

ちょっと翻訳とはズレた話ですが、同じ問題で悩んでいる人もいるかもしれないので、ブログにしてみました。

ちなみに、こういうところにも日米の文化の差異を感じます。米国は一握りのスーパースターがCourseraのような世界を変える新しいものを創ることに長けています。対照的に日本では「抜け、漏れの無い、信頼性の高い、均一で完璧な」サービスをみんなで一緒に作ろうとする傾向にあると思うからです。

さらに教育のあり方についても日米の差異をひしひしと感じます。

米国では大体の概念をつかむことを大事にします。その方が大胆な発想ができそうです。対照的に、日本では細部まで正確に覚えることを要求することが多いと感じます。日本で「優秀な人」とは「間違えない人」なのでしょう。

2020年7月12日日曜日

アクチュアリー英語(生保)

本用語集を作るに至った経緯

保険約款などの英訳を依頼されると、まず最初に日本語の原文の内容理解に苦しみ、次に訳語の選択に悩みます。

例えば、現価率「 ν 」の英訳は普通の辞書に載っていません(2018年6月現在)。

インターネットでやみくもに検索してみると「present value rate」「current value rate」「discount rate」などが出てくるものの、いったいどれが適切な訳なのでしょうか。

もし「discount rate」とやってしまうと割引率と一緒になって混乱をまねく気がします。(割引率の定義は d = i/(1+i)である一方、現価率は ν = 1/(1+i)と、意味が違うのです。つまり割引率と現価率を足し合わせると1になるのです。)

以下では、信頼できる情報源(日本と米国のアクチュアリー会の教科書)から抜き出した生保用語を対訳にして蓄積してあります。

これによって一定水準の翻訳の質が保証でき、翻訳作業の悩みが減ることを目指しております。

以下が主な用語です。

計算基数 

保険や年金の現価の計算を簡単にするため、生命表から計算された数(Dx、Nx、Cx、Mxなど)。英語のテキストではこれに相当するものが、今のところ現れていません。

現価率 Discount factor

ν = 1/(1+i) 

割引率 Rate of discount

d = i/(1+i)

生存関数 Survival function: 

x歳の人が時刻tでまだ生存している確率
Sx(t) = tPx
It represents the probability that a life aged x survives for at least t years.

Fx(t) = 1 - Sx(t) = tqx

分布関数 Lifetime distribution function: 

x歳の人が時刻tまでに死亡する確率
It represents the probability that a life aged x does not survive beyond age x + t.

x歳における死亡率 Mortality rate at age x.

qx 予定死亡率は保険料の計算に使う死亡率。

死亡指数 Constant multiple of mortality rates multiplied by 100

標準者の死亡率を割り増しする比率を100倍したもの

最終年齢 Limiting age

ω : Survival beyond this age is not possible.

事由 State

英語で一番近いと思われる訳

死力 Force of mortality

μx : Also known as hazard rate or failure rate.

完全平均余命 Complete expectation of life


略算平均余命 Curtate expectation of life

生存する年数の端数を切り捨てて平均したもの
e x : The number of whole years lived in the future by an individual

選択期間 Select period 

死亡率が年齢のほかに契約時からの経過年数にも影響される期間
The period after which the age at selection has no effect on future survival probabilities.

選択表 Select life table


終局 X Ultimate x

選択期間後の(生命表)
(period, mortality, table) of the select period

終局表 Ultimate life table


年金現価 Discounted value of an annuity


年金終価 Accumulated value of an annuity


利力/連続複利 Force of interest per year/continuously compounded rate of interest


年金原資 Present value of the annuity plus maintenance cost

名称利率:Nominal interest rate: 

1年に転化回数が k 回で、実利率 i ÷ k で転化される。
注:インターネット上でアルク、Weblio、生命保険文化センター和英辞典で調べてもヒット数が0で、紙ベースの「金融・会計用語辞典」、「金融・証券・保険用語辞典」でも見出しがありません。(2018年7月現在)
英和辞典を引くと「表面利率」「名目利率」しか出てきません。「表面利率」は債券用語で、計算方法は同じです。「名目利率」は経済用語で、実利率+インフレ率です。
i (K) The interest rate per period, i/k, is compounded k times per year.

実利率 Effective interest rate

実利率 i の資産運用が期間 n のあいだ継続されるならば、期間 n 後の金利は、 (1+i) n - 1 となる
The annual effective interest rate, if compounded annually, will yield the amount of interest per year.

予定利率 Assumed interest rate

保険料の計算に使う利率

保険期間:Term of the policy

被保険者:the insured

永久年金 A perpetuity

保険料 Premium

営業保険料 Gross premium

純保険料+付加保険料。保険契約者が払い込むもの。
 (office premium): Its calculation explicitly allows the company's expenses.

純保険料 Net premium

予定死亡率(あるいはその他の事故発生率の予定)と予定利率とから計算した保険料。保障に必要な部分。将来の保険金支払いのために責任準備金として積み立てられる。

一時払保険料=保険現価 Single premium

保険契約締結の際にのみ払い込み、以後払い込む必要のない保険料。
A single premium is payable at the outset of the contract.

予定死亡率  Assumed mortality rate

採用した生命表の示す死亡率

予定利率 Assumed interest rate

利息の計算に使用する利率

保険金 Sum Insured


一時金 Single lump sum


給付金 Benefit/Cash benefit

Benefits include the sum insured on the death of the policyholder

死亡保険金 Death benefit


生存保険金   Survival benefit/Living benefit

満期時に生存しているときに支払うもの


給付金 Benefit/Cash benefit

Benefits include the sum insured on the death of the policyholder

期末払(年金)Payable annually in arrear


期始払(年金)Payable annually in advance


生存保険  Pure endowment

所定の期間経過後に被保険者が生存していれば一時金を支払うもの

定期保険  Term insurance

保険期間が定まっている死亡保険
Term insurance pays a lump sum benefit on the death of the insured provided death occurs before the end of a specified term.

終身保険  Whole life insurance

保険期間が定まっていない死亡保険
Whole life insurance pays a lump sum benefit on the death of the insured whenever it occurs.

養老保険  Endowment insurance

定期(死亡)保険+生存保険
Endowment insurance offers a lump sum benefit either on the death of the insured or at the end of a specified term, whichever occurs first.

年金  Annuity

An annuity is a benefit in the form of a regular series of payments.

生命年金  Life annuity

生存していれば年金を支払うもの
A series of payments to an individual as long as the individual is alive on the payment date..

終身年金 Whole life annuity

被保険者が生存するかぎり所定金額の年金を支払うもの。
A whole life annuity is a contract paying a level sum at regular invervals while the annuitant is still alive.

有期生命年金 Term annuity/term life annuity/temporary annuity

一定の期間において、受給者が生存していれば年金を支給するもの
The annuity is paid for some maximum period, provided the annuitant survives that period.

即時開始年金 Immediate annuity

注:上記は据置期間が無いという意味。「annuity-immediate」は意味が異なり、「期末払いの年金」になるので、紛らわしい。
The annuity commences as soon as the contract is effected.

据置年金 Deferred annuity 

The annuity commences payment at some future, specified date, if the annuitant survives to the payment dates.

確定年金 Annuity-certain/fixed-term annuity


期始払年金 Annuity-due


期末払年金 Annuity-immediate


保証期間 Guaranteed period

保証期間付生命年金で確定年金を支給する期間
If the annuitant dies soon after the annuity commences, there is some minimum payment period, and the balance is paid to the annuitant's estate.

総額保証付  Cash refund payout option 

支払われる年金額と死亡一時金額の合計が一時払保険料の金額で最低保証される。
The insurer offers an option that if the policyholder dies before the total annuity payments exceed the single premium, then the balance will be paid as a death benefit.


難しい金融英語9選

1 Amortization

住宅ローンや資産担保証券の場合は、元利均等返済と訳します。
(=A series of periodic payments is made, when these payments are equal.)

債券の場合は、アモチゼーション(その逆はアキュムレーション(Accumulation))と訳します。
(When a bond is purchased at a premium, the book value of the bond will be written down at each bond interest date, so that at the time of redemption the book value will equal the redemption value.)

どちらの場合も確定年金の計算式を使い、基本的にメカニズムは同じです。

両者の違いは、毎期減っていく対象が元利均等返済の場合は元本、債券の場合は取得価額と額面の差になります。


2 Embedded gain: 含み益


3 Employer and employees: 雇用主と被用者
「雇用」という表現は、労働者を「雇う側」と「雇われる側」のどちらも意味しており紛らわしいので避けたいものです。
「使用者」と「被雇用者」または「従業員」でも明確にできるでしょう。

4 Expertise 専門的知見

5「Gross premium」と 「Gross premiums written」

一見似ていますが、「何がグロスなのか」という点が違います。

英語の「Gross premium」は、純保険料に「経費」を加えたという意味でグロスと言っており、対応する和訳に「営業保険料」があります。

その一方、「Gross premiums written」は、「再保険料」を加減する前という意味でグロスとしています。近い和訳としては「正味収入保険料(再保険料加減前)」でしょうか。「近い」とお断りしている理由は、日本語の「正味収入保険料」は解約返戻金と積立型保険の貯蓄部分を控除しているのに対し、英語ではそのような分類が見当たらないからです。

6 Gaming: ゲーミング
投資家よりも運用会社にとって、有利なパフォーマンス尺度になるような投資行為です。

7 Institutionalize: ~体系の構築/導入 

8 Proprietary deal flow: 従来の競争入札によらずに、投資の条件を決める案件。

9 Universe: 商品母集団
投資の目的に適格として選定された商品群。「銘柄ユニバース」という言い方が一般的になりましたが、上場株式でない商品もユニバースになり得ます。 

2020年6月17日水曜日

「手元/手許資金」と「手元/手許現金」の英訳

手元/手許資金とは?

手元と手許で漢字は違いますが意味は同じであり、現預金と短期保有の有価証券を合わせたものなので、英訳は「Cash and cash equivalents」という会計用語で大丈夫です。ビジネス文書では「Cash on hand」という表現もよく目にします。

これに似た言葉に「手元/手許現金」があります。
手元/手許資金より意味が狭くて、手元に保有している紙幣や硬貨など現金、いわばゲンナマ、イメージで言えばタンス預金や会社の金庫に入っている札束です。

これに対応する会計用語の英語は私は知りません。会計用語で「cash」というと銀行預金も含まれてしまいます。ですので「Cash in hand」または「Cash at hand」が妥当と思われますが、ビジネスの翻訳ではあまり使用する機会はないでしょう。

注意したいのは、金融業界で英和するときに「cash on hand」を「手元現金」と直訳する場合です。一般的な文書ならば必ずしも間違いではないかも知れませんが、会計にからむ話だと厳密ではありません。



参考
Goo国語辞書

Double entry bookkeeping

iFinance

Investopedia, “Cash and Cash Equivalents

The Difference Between Petty Cash and Cash on Hand

2020年6月7日日曜日

収益、売上、利益、収入、費用、支出、原価の英訳の使い分け

「収益」とは、企業が事業活動や投資活動を行った結果、対価として受け取る売上や利益であり、損益計算書に表われる部分です。

これにぴったりと対応する1語の英語を私は知りません。最も近い英訳は「Sales and profits」でしょうか。

「売上」に対応する英語として、「Revenue」や「Sales」をよく見かけます。
「利益」に対応する英語は「Profit」「Earnings」「Income」「Net income」が一般的でしょう。

似た言葉に「収入」があります。「収入」は現金を受け取ることを指し、必ずしも損益計算書に計上されるとは限りません。
「収入」を英訳するならば「Cash inflow」や「Cash receipt」が意味として正しいと思いますが、日本語の「収入」のような総括的なニュアンスで英語で書かれている例をあまり見たことがありません。

「費用」は損益計算書でマイナスになる項目で、ありがたいことに対応する英語がちゃんとあって「expense」で大丈夫です。

「支出」は、固定資産など長期的な資産を購入するなどの目的で現金を支払うことで、必ずしも損益計算書に表われるわけではなく、これもありがたいことに対応する英語があって「expenditure」です。

以上は企業の会計の話で、政府や個人のお金の話になると、また別の表現になってしまいます。

「原価」は資産などを取得したときの対価であり、最初は資産計上される場合が多く、収益に貢献するときに損益計算書に表われてくる項目で、原価に対応する英語は「Cost」でいいと思います。(ただし英語圏では「expense」と「cost」を同義で使う人もいます。)