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2019年8月31日土曜日

肩こりと翻訳と水泳

肩凝りに悩む翻訳者は多いようです。

解決策として、人間工学に基づいて設計された高価なイスを買ったり、スタンディング・デスクを買うか自分で作るかしたりする翻訳者が多いです。

私の場合、バランス・ボールを椅子にして、チェック作業のときは立つようにして、最低週3回はジムで泳ぐという方法をとっています。





泳ぐ間は仕事のことを考えずに無心になれるので、良い気分転換です。ある知合いの翻訳者は1時間ずっと泳ぎっぱなしだそうで、何メートル泳ぐというような距離の目標は決めず、1時間したら終わりにすると言っていました。

私の場合、最初は50メートル泳ぐだけで息切れしていたものの、だんだん距離が伸びてきました。それでも1時間泳ぐ体力はありません。

そもそも目標が「魚のように泳ぐ」ことで、クロールを優雅に泳ぐ技術を下記のDVDで学びました。

美しいクロール 解体新書
このDVDはアマゾンで買えます。


このDVDは優れもので、運動オンチの私でさえ1年半の練習で1キロを30分で心拍数120(つまり楽に)で泳げるようになりました。見ず知らずの人に「速くてきれいに泳ぐ」とほめてもらうこともあります。

しかし他人より速く泳ごうと競争心を出したり、自慢するために泳いだりすると、楽しくなくなってしまうので、自分が楽しめるペースをキープすることにしています。

1キロということは1往復50メートルを20往復ですが、何往復したのか途中で忘れてしまいます。そこで100円ショップで髪を束ねるためのプラスチックのリングを大小2種類買い、小さいリングは指にはめて1往復するごとにずらし、親指以外の全部の指を移動したら大きいリングを左の手首から右の手首にはめかえる、とすると忘れないで済みます。

気がつくと、いつのまにか肩こりに縁のない生活になっているのでした。


2019年8月30日金曜日

翻訳者が業界団体に顔を出すということ

ある翻訳者の集まり。楽しかったけれど…。
翻訳者の集まりに行くのは楽しいです。気が合うし、話が合うし、たまに仕事を紹介してもらうこともあります。しかし1つ問題が。。。紹介してもらう仕事が自分の専門と一致する可能性がゼロに近いことです。なぜなら、参加者は特許、医薬、法律、映画字幕、ゲーム、機械、日本文化などを専門としており、私が専門とする「オルタナティブ投資」の意味を知っている人など、まずいません。


そこで、オルタナティブ投資の業界の交流会に出向くことにしました。こちらの参加者は、金融業界でファンドを運用しているプロの方々です。

ものすごく緊張します。場ちがいではないかと気おくれするし、隣の人と何を話したらよいか分かりません。女性も少ないので、ますます居心地が悪いです。

この不快感を我慢し、セミナーや交流会に何度か出てみましたが、「なんでアナタがここにいるの?」みたいな意地悪なことを言ってくる人は一人もいませんでした。

それどころか私が翻訳をやっていると告げると、「通訳ってすごいといつも思います」と気を使ってほめてくれる女性のファンド運用者すらいました。(翻訳と通訳は全然違うのですが、まあそれはそれとして。)

金融業界にはバイリンガルに近い人が多くいるので、そもそも翻訳のニーズがないのではないかと不安でした。

しかし私は知ってしまったのです。金融関連の翻訳をいくつか目にしましたが、ことオルタナティブ投資がテーマになると、誤訳・珍訳のなんと多いことか。これにお金を払っている人がいるということは、私の出番があるはずなのです。

そこで業界の集まりに出て、自分の顔を覚えてもらうことが肝要かと思っています。隣の人と何かを話せばいいのか、いまだに分かりませんが、自分から何か話すと言うよりは、お酒をお食事を楽しみながら相手の話を聞くだけでもいいかと思ってます。

インターネットとスマホの時代でも「人と人が会う」ということは、すごいことだと思います。会ったからと言って即、お互いに気があったり信用しあえるとは限りませんが、フリーランスの翻訳者は極力お客さんのいそうな場所に足を運んで、お客さんの世界を少しでも知るべきだと考えています。

2019年8月22日木曜日

英訳のおもしろさ



日本語を学習した英語ネイティブの人でも、「思う人は思うと思う」 という日本語の表現は理解できないらしいです。

あなたなら、以下をどう英訳しますか?
  • 思う人は思うと思う
  • 考える人は考えるものだと思う
  • 言いたい人は言うものだと言いたい
  • あるところにはある
  • ないところにはない
  • 知ってる人は知ってる
  • 知らない人は知らない
  • ダメなものはダメ
  • 良いものは良い

Googleの自動翻訳にかけると。。。

思う人は思うと思う
Think people think.

考える人は考えるものだと思う
I think people who think.

言いたい人は言うものだと言いたい
I want to say that the person I want to say is what I say.

あるところにはある
Somewhere.

ないところにはない
Not in nowhere.

知ってる人は知ってる
Who knows knows.

知らない人は知らない
I don't know people I don't know.

ダメなものはダメ
Useless things are useless.

良いものは良い
Good things are good.

。。。と、まったく文章を成していなかったり、何を言いたいのか分からなかったりで、最後の2つはかろうじて文章になっていますが、英語は繰り返しを嫌うので、良い文章とはいえませんよね。


日本語に独特の表現は、行間を読むことがポイントになります。実務翻訳ではこれほどクセのある表現は出てきませんが、面白いので英訳してみました。

思う人は思うと思う
I suppose such thoughts are shared among certain people.

考える人は考えるものだと思う
I guess some people are predisposed to think.

言いたい人は言うものだと言いたい
I would say you can't stop people from talking.

あるところにはある
We have them in certain locations.

ないところにはない
If they don't have it, there is nothing you can do about it.
or
If they don't have it, that's it.

知ってる人は知ってる
It depends on whether you are one of those in the know.

知らない人は知らない
It is not generally known.

ダメなものはダメ
This is not good no matter what.

良いものは良い
There is no dispute that some things have inherent qualities that are good.

驚いた話ですが、「ひとつの単語を別言語のひとつの単語に必ず対応させるべし」という指示をチェッカーや翻訳者に出している翻訳会社があるそうです。どうしてそれができるのか不思議です。

英訳は、行間を読むところが難しくもあり、翻訳者としての醍醐味を感じさせるところでもあります。