日本とイスラエルは近くなる
2023年3月から日本―イスラエル間の直行便が就航し、11時間で行けるようになります。マスメディアの影響で「中東はこわい」というイメージがあるかもしれませんが、イスラエルの治安はそれほど悪くなく、気候や食べ物も良いし、技術立国なので、ビジネスチャンスもあります。
ビジネス・マッチングは楽ではない
仲介キャリア30年のベレットさんといえども、様々な苦労があるようです。例えば、
- 日本企業の品質へのこだわりが高すぎる。アメリカ人ならば、多少何かが歪んでいても気にしないのに、日本企業はクレームを出す。
- 日本人のサービスへの期待。日本企業はトラブルがあったら、すぐに対応することを期待するが、海外企業との取引では、時差があって難しい。
- 日本人はミーティングで、面と向かって相手に本音を言わない。ベレットさんは、後から一緒に食事するなどして、本心を聞き出す工夫もするそうです。
対立が起こると、どちらの言い分に筋が通っているのかがはっきりせず、グレイなこともあるそうです。
仲介業は、グローバルな人脈、貿易・海運・物流の知識、国際取引の経験が要るため、ある程度齢を重ねないと良い仕事ができないそうです。
イスラエルの技術
ベレットさんが日本の代理業者となっている
Keter Group は、世界最大の樹脂材消費財メーカーです。同社は現在、環境に優しい樹脂製品を開発中。
さらにベレットさんがアドバイザーを務めるCorundum
は、日本とイスラエルの両国に拠点を持つ唯一のベンチャーキャピタルで、そのアドバイザリーボードには、ノーベル賞受賞者がいます。
イスラエルは農業のバイオテクノロジーも進んでいます。なにせ砂漠で食料を生産しているのですから。食料自給率を上げたい日本にとって、学ぶことがあるかも知れません。
株式会社ノゾミは、フットワークが軽い
ベレットさんはヨーロッパを訪問する日本企業に随行することもあるそうです。英語を話せる人材が不足する会社ならば助かるはず。
どんなに商品が良くても、「この人たちと取引したくない」と思われたらアウトなので、忍耐強く人間関係を築くことが肝心です。
「話を聞きたい」という私のリクエストにもすぐに応じてくれ、横浜で1時間ほど会ってくれました。その日の午後に関西に出張するという忙しさにもかかわらず、私の質問に対して嫌な顔一つせず、忍耐強く答えてくれました。
「どちらの側にもつかない」というポリシー
企業同士が提携する場合、短期的な利益がメインではなく、技術が次のステップにつながるかどうかという長期的な戦略が大事とのことです。
イスラエルに強みがあり、日本に貢献できそうな分野で、ベレットさんが理解する業界と商品ならば対応可能だそうです。
ベレットさんは、対立が起こったとき、どちらの見方もしません。つまり、必ずしもベラドさんにお金を払う側につくとは限らないのです。双方が満足しないと長い付き合いにならないからです。正直さ、理解、信頼を土台として「衆望を担う」のがポリシーです。
翻訳者に伝えたいこと
ベレットさんが3か国語で経済誌やSNSを読んでいて気付いたのは、ある言語の記事が別の言語に勝手に翻訳され、インターネットに載っている場合があることです。これは違法行為です。翻訳者は自分でもやらないようにし、頼まれたら断るようにしましょう。パクリは、ばれます!
株式会社ノゾミ
代表取締役:ガル・ベレット(Gal Vered)氏
ベレットさんは、日本とイスラエルの両方に生活基盤があり、奥さんはイスラエル在住、2人のお子さんはフランスとオーストリア在住という国際派。親戚がイタリアとベルギーにいらっしゃるそうです。世界中の穴場を知っていそうな感じですね。
ベレットさんはメールではビジネスライクですが、お会いしてみると物腰が柔らかな方という印象で、世界史を語り出せば止まらない知的な方でした。