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2020年6月17日水曜日

「手元/手許資金」と「手元/手許現金」の英訳

手元/手許資金とは?

手元と手許で漢字は違いますが意味は同じであり、現預金と短期保有の有価証券を合わせたものなので、英訳は「Cash and cash equivalents」という会計用語で大丈夫です。ビジネス文書では「Cash on hand」という表現もよく目にします。

これに似た言葉に「手元/手許現金」があります。
手元/手許資金より意味が狭くて、手元に保有している紙幣や硬貨など現金、いわばゲンナマ、イメージで言えばタンス預金や会社の金庫に入っている札束です。

これに対応する会計用語の英語は私は知りません。会計用語で「cash」というと銀行預金も含まれてしまいます。ですので「Cash in hand」または「Cash at hand」が妥当と思われますが、ビジネスの翻訳ではあまり使用する機会はないでしょう。

注意したいのは、金融業界で英和するときに「cash on hand」を「手元現金」と直訳する場合です。一般的な文書ならば必ずしも間違いではないかも知れませんが、会計にからむ話だと厳密ではありません。



参考
Goo国語辞書

Double entry bookkeeping

iFinance

Investopedia, “Cash and Cash Equivalents

The Difference Between Petty Cash and Cash on Hand

2020年6月7日日曜日

収益、売上、利益、収入、費用、支出、原価の英訳の使い分け

「収益」とは、企業が事業活動や投資活動を行った結果、対価として受け取る売上や利益であり、損益計算書に表われる部分です。

これにぴったりと対応する1語の英語を私は知りません。最も近い英訳は「Sales and profits」でしょうか。

「売上」に対応する英語として、「Revenue」や「Sales」をよく見かけます。
「利益」に対応する英語は「Profit」「Earnings」「Income」「Net income」が一般的でしょう。

似た言葉に「収入」があります。「収入」は現金を受け取ることを指し、必ずしも損益計算書に計上されるとは限りません。
「収入」を英訳するならば「Cash inflow」や「Cash receipt」が意味として正しいと思いますが、日本語の「収入」のような総括的なニュアンスで英語で書かれている例をあまり見たことがありません。

「費用」は損益計算書でマイナスになる項目で、ありがたいことに対応する英語がちゃんとあって「expense」で大丈夫です。

「支出」は、固定資産など長期的な資産を購入するなどの目的で現金を支払うことで、必ずしも損益計算書に表われるわけではなく、これもありがたいことに対応する英語があって「expenditure」です。

以上は企業の会計の話で、政府や個人のお金の話になると、また別の表現になってしまいます。

「原価」は資産などを取得したときの対価であり、最初は資産計上される場合が多く、収益に貢献するときに損益計算書に表われてくる項目で、原価に対応する英語は「Cost」でいいと思います。(ただし英語圏では「expense」と「cost」を同義で使う人もいます。)

2020年6月6日土曜日

「割引率」は、投資(M&A)と保険数理で定義が違う

保険数理において、割引率を(d)、年利を(i)とすると
d = i/(1+i)
で表されます。

その一方、M&A投資において将来のキャッシュフローを現在価値に変換するために用いる割引率は、(d)ではなくて(i)の方を指します。

これは英語でも同じで、「discount rate」と言っても保険と投資(M&A)で定義が上記のように異なるため、注意が必要です。

しかし、ありがたいことに、保険数理でもM&A投資でも「現価率(discount factor)」の定義は同一なので、悩む必要がありません。
現価率(ν) = 1/(1+i)

参考:
数理ファイナンス 

確定年金の計算